『夢十夜を遊ぶ夜』とは──
夏目漱石が書いた、不思議な夢のオムニバス「夢十夜」。
〈死を看取った女の墓の横に座り続け、ある日、百合の花が咲いたのを見て100年経ったことを知る夢〉〈夜の山道を歩きながら、おんぶした息子が、かつて自分が殺した盲目の男だったと気付く夢〉〈美しい女に付いていき、崖の縁で際限ない豚の大群に襲われる夢〉など、美しかったり不気味だったりナンセンスだったりする夢を10話集めたこの小説は、理論派とされる漱石らしからぬ幻想的なテイストでありながら、多くのファンを持っています。
これをどうにかしてリーディング公演にできないか、ずっと考えてきましたが、とうとう、ひとりの演出家の方に丸投げすることにしました。「漱石の「夢十夜」を好きにして遊んでください」と。
でも、そのほうがおもしろくなりそうな予感がしています。どうぞお楽しみに!
☆夏目漱石「夢十夜」は青空文庫で読めます。短編なので、ぜひご一読ください。
第1弾に鳥山フキ(ワワフラミンゴ)登場!
記念すべき第1弾の演出は、鳥山フキさんにお願いしました。綿菓子を舐めているつもりが岩塩が出てきたのだけれど、本当は何も食べていなかったのかもしれない──。そんな、先の読めない、裏付けなど気に留めない、人を食ったその世界は「夢十夜」にぴったりです。
キャストは、ワワフラミンゴでおなじみの女優さんふたりと男優さん、そして音楽に小島ケイタニーラブさんと、一晩だけのリーディングでありながら豪華な面々です。
夢か現(うつつ)か、不確かで気持ちのいい鳥山時間を、ゆるりと味わってください。